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第1章 吾妻山の火山防災と火山ガス災害〈全4回〉[その3]

1.吾妻山の火山防災

①吾妻山の火山活動史

福島県を代表する吾妻山は約120万年前から活動をしているが、防災から考えた場合に重要なのは、過去1万年以内の火山活動になる。地図で示したのは、一切経山と吾妻小富士を中心とするエリア(図-1)で、次の噴火もこの周辺から発生すると思われ、最も可能性が高いのは現在噴気活動が活発な大穴火口周辺である。

過去1万年の中で最も大きな噴火は、大量のマグマ噴出により吾妻小富士を作った6千年前で、一連の噴火は休止期を挟んで約千年続き、火砕丘(火口から噴出物が繰り返し放出されて積み重なった高まり)を作った。溶岩は東側に流れ下り、火山灰は現在のあづま総合運動公園周辺で10cm以上堆積している(図-2)。当時縄文人がその周辺に住んでいれば大変なことになっていたのではないだろうか。

歴史時代の噴火はほとんどが大穴火口周辺で、1331年と1711年に確認されているが、火山灰は福島盆地ではさほど積もっていない。

その後、明治の中期の1893(明治26)年に吾妻山は燕沢火口から噴火をし、火山の研究者が噴石に当たり2人亡くなり、その慰霊碑が登山道の近くにある。吾妻山は1950年代、1970年代にも小規模な噴火を繰り返し発生させているが、冬季間であったため火口周辺には人は居らず、昭和の噴火では犠牲者は出ていない。そのため多くの福島市民は吾妻山が火山であることに恐れを感じていない。しかし、福島県で最も活動的な火山が実は吾妻山なのである。

図‒1 過去7千年間の噴火口
図‒2 吾妻小富士の噴火

②吾妻山の火山防災

この吾妻山では火山防災のために、2002年1月に初めて防災マップを作り(図-3)、福島市民に配布をした。その後、2014年と2019年に改訂版を出している。最初と2回目以降のマップでは被害の範囲が異なる。それは活火山の定義が改定されたことに関係している。2002年当時は、過去2千年以内に噴火した山を活火山としていた。それが2003年から過去1万年以内に噴火した山に変わった。吾妻山は過去2千年以内であれば、水蒸噴火だけなので、被害の範囲も狭い(最近になって、明治の噴火は小規模なマグマ噴火であることが明らかになった)。過去1万年となると大規模なマグマ噴火を発生させていたので、被害はかなり広範囲となる(図-4)。

もし、冬季間に規模の大きなマグマ噴火が発生すると、その熱で雪を解かし泥流となり福島市街地を襲う。このマップの見方が難しい。それは、泥流被害が福島市街地の広い範囲に及ぶように描かれているが、実際には噴火口の位置により被害は異なる。火口の位置が北側の五色沼周辺で発生した場合は、松川に沿って泥流が流れ下るので、福島市の北側の市街地に被害が及ぶ。一方、南側の大穴火口周辺で発生した場合は、荒川や南側の川を流れ下るので、南側の市街地に被害が及ぶ。つまり、一度の噴火ですべての地域に被害が及ぶわけではない。また、小規模な水蒸気噴火が冬以外に発生すると、泥流の被害はかなり狭い範囲となる。このように火山災害は、噴火の種類や規模、そして発生する季節によっても被害は異なるので、他の自然災害に比べて理解することがかなり難しい。現在、学校教育では中学校の1年生の理科で火山を学ぶが、高校では理科は選択制となっていて、地学の授業を開講していない学校が大半である。そのため、日本人の火山の理解は中学校の1年生のレベルでとどまっている。

2014年9月の御嶽山の噴火では、その規模はけっして大きいものではなかったにもかかわらず、甚大な被害となった。それは、突然に水蒸気噴火が始まり火口周辺に多くの登山客がいて、噴石にあたり63名が死亡した。この火山災害を受けて、火山の噴火口周辺にシェルター(退避壕とも言う)を設置する自治体が増えてきた。

一切経山と吾妻小富士の間に浄土平がある。1960年代に山岳道路のスカイラインが開通したことで、現在では福島県を代表する観光地となっている。秋の紅葉時期には300台を停められる駐車場が満車となり、千人を超える観光客が滞在している。大穴火口からの噴火が、たとえ小規模であっても、その噴石にあたることで多くの犠牲者が出る可能性が高い。御嶽山と同じ火口から600mの圏内に滞在しているのである。そこで、福島県と福島市はようやくこの対策としてシェルターを設置する方向で動き出した(写真-1)。

図‒3 吾妻山火山防災マップ(2002年)
図‒4 吾妻山火山防災マップ(2019年)
写真‒1 カルバート型シェルター(霧島に設置した例)

2.火山ガス災害

①火山ガスとは

火山の噴火現象には多くの種類がある。大きく分けると2つで、一つが空から飛んでくるもので火山の専門用語では、降下火砕物と言い、それは噴石や火山灰を指す。もう一つは斜面を流れ下るもので、溶岩流や火砕流や泥流などである。少し変わった噴火現象に山体崩壊というものがあり、1888年の磐梯山がこのタイプで、日本では百年に1回程度しか発生しないものである。このどれにも属していないのが火山ガスである。そして、この火山ガスは噴火をしていない場合でも発生するし、火口周辺だけでなく温泉地でも発生している。火山ガスには主に3種類があり、硫化水素(H2S)、二酸化硫黄(SO2)、二酸化炭素(CO2)で、これらが火山ガス事故の原因となる。日本では1950年以降、火山ガス事故で70名近い人が亡くなっている(図-5)。

その大半は硫化水素によるものである。通常、硫化水素は卵が腐ったような臭いを発生させるが、高濃度になると臭覚麻痺がおきて、人間の鼻では臭いを感じることができない。硫化水素は無色透明であり、高濃度の状態のガスが近くにあっても、誰も気づかない。この硫化水素による事故は、火山の噴火口周辺で発生するが、温泉地でも発生する。1997年9月には、安達太良山の沼ノ平火口で、埼玉県の登山客が4名亡くなった。2023年7月には、安達太良山の西側の沼尻温泉の源泉で、観光客が1名亡くなった。

図‒5 1950年以降の火山ガス事故

②高湯温泉の火山ガス事故

2025年2月17日、高湯温泉の源泉管理作業に行った従業員の3名が、この硫化水素で亡くなった(写真-2)。高湯温泉は群馬県の万座温泉と並ぶ、高濃度の硫化水素ガスを放出している温泉として有名であった。温泉地では「湯守」と呼ばれる人たちが源泉の維持や清掃を行う。

この3名は温泉の源泉で亡くなったのではなく、源泉へ行く途中の窪地に倒れていた。

写真‒2 花月ハイランドホテルを含む3旅館が使用する源泉 (2月18日 10:30AM 旅館「安達屋」提供)

3名はガスマスクを持参せず、ガス感知器も持参していなかった。この温泉の源泉を管理する仕事はとてもハードで、他の温泉の湯守からは「ガスマスクを装着した状態では作業をすることは困難だ」と言われた。

現在、硫化水素中毒などのガス災害を防ぐために「酸素欠乏症等防止規則」という法律が、厚生労働省の労働安全衛生規則にあるが、これは下水道工事の作業は想定されているが、温泉地は対象になっていない。つまり、火山ガスの災害については、各温泉任せの状態で現在も作業は続けられている。

③乳頭温泉の火山ガス事故

2015年3月18日、秋田県の乳頭温泉で火山ガス事故が発生し、硫化水素により3名が亡くなった(写真-3)。今回の高湯の事故発生直後、知り合いの野上東京科学大学教授から連絡が入り、「今回の事故は乳頭温泉の事故に似ている」と言われた。10年前の事故では、仙北市が管理する源泉の下流200m地点で、源泉からの湯を引く配管の点検のため、雪を掘った場所で3名が倒れていた(図-6)。

この死亡事故を受けて、仙北市長は、秋田駒ケ岳火山防災協議会の専門委員長の林信太郎秋田大学教授に連絡を入れた。林教授はすぐに野上東京工業大学教授に連絡をし、すぐに現地調査に入ってもらった。公益財団法人中央温泉研究所も現地に入った。その後、この研究所は環境省からの依頼で「平成27年度温泉を原因とする中毒事故等対策検討委託業務」という報告書を2016年3月に出した。また、仙北市ではこの事故を受けて、「安全作業マニュアル」を2015年12月に作成した(写真-4)。

写真‒3 実況見分に源泉付近に向かう捜査員ら (河北新報:2015年3月19日)
図‒6 事故現場の状況(河北新報:2015年3月19日)
写真‒4 安全作業マニュアル表紙

④2つの火山ガス事故の対応の相違

2つの事故はどちらも源泉ではなく、源泉近くの湯を引く配管近くで発生したものである。乳頭温泉では地元の仙北市長がすぐに動いて対策を進めた。一方、福島県の動きは鈍かった。私は事故の翌月の3月11日に、火山ガス問題で福島県火山学習会を開催した。

この学習会は2001年から私が始めたもので、今回が54回目であった。気象研究所の研究員の岡田純氏に「火山ガス」についてお話をしていただき、「過去の火山ガス災害」について私が話をし、オンラインも含めて行政関係者を中心に約40名が参加をした。

岳温泉関係者も参加し、「湯守」作業の厳しい現実を話された。この学習会を始めたききっかけは、2000年に磐梯山の火山活動が活発化し、当時の若松測候所から臨時火山情報が出されたことによる。行政の担当者もマスコミ関係者もほとんど火山を知っている人はいなかったのである。

高湯温泉旅館協同組合では、4月2日に野上東京科学大学教授と滝沢中央温泉研究所部長を招いた勉強会を開催した。今後、危険個所を記した源泉マップなどを盛り込んだ「安全作業マニュアル」を作成する予定である。

⑤火山ガス事故の難しさ

他の火山災害とは異なり、火山ガス事故の対応は難しい。火口周辺で発生した場合は、もちろん災害部局が対応する。しかし、今回のように温泉で発生した場合、保健福祉部であったり、観光部局での対応であったりする。しかし、今後を見据えた場合、火山ガス事故は災害部局が司令塔になるべきであると考える。火山ガスの専門家は全国でも数えるほどしかいない。それは、大学で火山ガスを学べる学校が少ないためである。火山防災協議会には複数の専門家が委員として参画しているが、多くは火山地質学や火山物理学の人たちである。今後、福島県でも野上東京科学大学教授のような火山ガスの専門家を非常勤の専門委員として呼べるようにしていくべきではないだろうか。福島県には吾妻山だけでなく、安達太良山や磐梯山と3つも常時観測をしている活火山があり、その周りには多くの温泉もある。福島県こそが、火山ガス対策の先進地になることが望まれている。

磐梯山噴火記念館
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第2章 小さなまちから、世界へ「天鏡株式会社」 紹介
第3章 新入社員紹介
第4章 福島県の湧水シリーズ 石川町の湧水を訪ねて・・・「小和清水」・「塩沢鉱石水」
第5章 新協地水 主な取り扱い工種のご案内
第6章 「水」のコンサルティング 井戸などの地下水利用全般の相談
第7章 さく井工[ロータリー工法] 地中深くの水を利用するために
第8章 私の山紀行 第46回「福島の春爛漫! 息吹を感じる低山トレッキングの誘い」
第9章 災害に強いまちへ「大熊町ゼロカーボンへの取り組み」
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