2025年4月、福島県双葉郡大熊町を訪れました。福島県は大きく分けて会津地方、中通り、浜通りの3地方に分類されます。新協地水本社が所在する郡山市は福島県の真ん中を縦断する中通りに位置し、今回ご紹介する大熊町は浜通り。浜通りの冬は雪が少なく、海に面した比較的温暖な気候です。そのような穏やかな町に文字通り激震が走りました。大熊町は14年前、東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故により、町内全域に避難指示が出されました。2025年現在、未だ大熊町の約50%が帰還困難区域となっており、町民の多くが県内外で避難生活を余儀なくされています。

今回訪問したのは常磐線大野駅西側に位置する大熊町産業交流施設「CREVA(くれば)おおくま」内の大熊るるるん電力㈱事務所。そこで大熊町ゼロカーボン推進課の羽田さんから話をお聞きしました。(以下羽田さんで表示)
◆るるるん電力はいつどのような目的で設立された のでしょうか?
羽田さん:大熊るるるん電力㈱は、2021年9月にゼロカーボン実現を目指す大熊町とそのパートナー企業である㈱エイブル(現:㈱ビーエイブル)等により設立され、再生可能エネルギーの地産地消を達成することにより、持続的で主体的な地域づくりへの貢献を目的としています。大熊町は、福島第一原子力発電所事故により全町避難という故郷を追われる痛みを経験しました。このため、「気候変動によって同じ痛みを味わう人々が生まれてほしくない」という強い思いから2020年2月にゼロカーボン宣言し「地球温暖化」という人類共通の課題に率先して取り組んでおり、こどもたちが誇りをもって語れる「人と地球にやさしいまちづくり」を進めております。

◆大熊町とるるるん電力の関係性は?
羽田さん:大熊町は大熊るるるん電力㈱設立にあたり、出資金75%を出資する株主(オーナー)であり、このため、社名の由来は、「創る」「巡る」「贈る」から「る・る・る大熊」としています。
◆どのような取り組みをされていますか?
羽田さん:町の公共施設や企業等への電気供給の他化石燃料に頼らない持続可能なまちづくりを目指し、下野上地区を先導的エリアとして町が整備したスマートコミュニティを運用。中学校跡地にメガソーラー1.8MW、大型蓄電池4MWhを設置し、同エリアに供給しています。


羽田さんにCREVAおおくま内と下野上スマートコミュニティを案内していただきました。また、CREVAおおくまでは太陽光発電を備えるなど、省エネ水準もNearly ZEBとなっています。スマートコミュニティのメガソーラーエリアでは、ソーラーパネルに澄み切った青空を映し壮観で、不思議と15年前までの子供たちが授業を受けたり、校庭で走る様子が見えるようでした。大熊町を訪れてみて、復興はまだまだと感じたのは事実です。できたばかりの美しい施設に対して生気のない旧民家。どこで生活必需品を購入するのだろう、震災前の商店街は解体されてしまったと伺ったけれどお店や食堂などはあるのだろうか。羽田さんにお聞きして大熊町役場周辺へ移動してみました。
大熊町役場周辺の大川原地区には2021年にオープンした交流ゾーンがあります。交流施設「linkる(りんくる)大熊」、宿泊温浴施設「ほっと大熊」、商業施設「おおくまーと」が隣接しており、多目的ホールでのイベントや会議の開催、日帰り入浴・宿泊、コンビニエンスストアや飲食店の利用ができます。本日はそのひとつ、商業施設「おおくまーと」の中の和食さかいさんでランチをとることにしました。

定食やどんぶりなどメニューが多く、毎日訪れてもお昼が楽しみになりそうです。お酒の種類も豊富で、みなさんの憩いの場となっていました。ソースカツ丼と豚生姜焼き定食はボリュームがあって舌もお腹も満足させていただきました。ほかにも飲食店が並んでいますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。先述の大熊町産業交流施設「CREVA(くれば)おおくま」には商業施設「クマSUNテラス」が隣接しており、キッズスペースでお子様も遊べますし、県外から出店されている飲食店もあります。
郡山市から車で1時間30分~2時間、大熊町を直に見て、体感してみなさんで大熊町を応援していきませんか。



*新協地水(株) 総務部(土と水編集長)